日本各地に生息し被害が拡大しているアライグマ。実は外来種だということはご存知でしょうか?
アライグマは元々北アメリカが原産。1970年代に起こったアライグマブームによりペットとしての需要が高まり、輸入されてきました。確かに見た目はとても可愛いので傍に置いておきたい気持ちはわかりますよね。
しかし、見た目の可愛らしさからはあまり想像できませんが、アライグマは気性が荒く猫のように飼育するのは難しいのです。とても無責任な話で胸が痛みますが、途中で飼うことを断念し、手放してしまう人が続出したようです。結果、元々ペットとして輸入されたはずの個体が野生化し、害獣と呼ばれている現在に至ります。
元々日本にはいなかった外来種故に、アライグマは野生動物の生態系に影響を及ぼすことを問題視されていますが、それだけではありません。他の害獣と同じで、わたしたちの生活環境や衛生環境にも影響を及ぼすことがあります。
今ページでは、アライグマが及ぼすわたしたちの生活に及ぼす影響と被害、そして対策についても説明していきます。
アライグマの生息地と被害状況
アライグマはどこにいるのでしょうか?東京都内や大阪府内でも度々目撃されるアライグマですが、現在どういった分布になっているのか確認してきます。
上でも触れた通り、原産地はアメリカです。国内分布は……なんと、驚きのほぼ全国。
もちろん、現在47都道府県にアライグマがいるとは断言できませんが、過去分布していた記録があった、というところも含めると、ほぼ全国となります。見かけたことがないからうちの地域は大丈夫、都会に住んでいるから安心ということはないのです。
北海道から沖縄まで、ほとんどの方がアライグマの害獣被害に遭う可能性があるということです。アライグマがわたしたちの生活にもたらす被害とはなんでしょうか?あまり想像がつかないかもしれません。
見た目は可愛らしいアライグマ、漫画やアニメのキャラクターにもなるくらい愛らしい彼らからは想像もつかないおそろしい被害状況を見れば、誰もが楽観視できないなと思うはずです。
生態系への影響
概要でも少し触れましたが、元々日本にはいなかったのでこれは当然のことかもしれません。よく聞く昆虫や爬虫類の捕食、鳥類の巣への侵入や営巣妨害だけではなく、生息地が重複するタヌキやキツネなども駆逐されてしまう事例も報告されており、気性の荒さは本当のようです。
農作物への被害
特にトウモロコシへの被害は深刻と言われています。他にもトマト、ナスなどの野菜、メロン、イチゴなどの果実類への被害もあり、ビニールハウスなども破壊されてしまうようです。
住居侵入・生活への被害
ハクビシンと同じように、アライグマは住居に侵入し、天井裏や、床下などに住み着きます。糞尿の影響で異臭や、家屋の劣化などの影響が心配されています。
また、ペットなどの犬猫が噛みつきの被害にあったというケースも報告されています。
感染症のおそれ
アライグマが保有している可能性の高い感染症、特に以下の3つ要注意です。
- ・レプトスピラ症(ワイル病)
- ・アライグマ回虫症
- ・狂犬病
実際に捕獲されたアライグマが保有していることがいくつも報告されています。人間にうつることもあります。各地域の被害状況に関しては、ホームページなどで閲覧できます。中にはアライグマの捕獲数や、保有していた感染症も詳細に掲載しているところもありますので、参考にしてみてください。
アライグマ対策の目的
アライグマがハクビシンと並び、害獣として深刻な問題を引き起こしているとわかりました。各市町村の自治体もアライグマの被害を深刻に捉えており、ホームページや広報などで注意を呼びかけています。特に被害の多いところでは、外来生物法に基づき、駆除を行っているようです。
外来生物法とは、簡単に言うとこれ以上、国内の生態系やわたしたちの生活に影響がでないように、特定外来生物に関する取り扱いを規制する法律です。運搬や保管などが禁止されているので、アライグマを捕獲する際には自治体へ報告する必要がある場合がほとんどです。
外来生物法はこれ以上外来種を増やさないために作られた法律です。アライグマ対策の目的は、これ以上アライグマを増やさないことにあります。
全国分布していることからもわかるように、アライグマは適応能力が高く、多様な環境でも繁殖が可能なので、今もどんどん数が増えています。当然、数が増えれば上述したような被害も増えてしまいます。
アライグマ対策の方法
アライグマ対策と一言で言ってもどういったものがあるかはわかりませんよね。アライグマ対策は主に以下の3つです!
忌避剤
天井裏や床下に侵入され、寝床にされてしまった場合は忌避剤がおすすめです。他の害獣や害虫用の燻煙剤・忌避剤で効果があるようです。侵入口から少し離れた場所で使用してください。追い出しに成功したあとは、再び被害に遭わないように侵入口を塞ぐ必要があります。
捕獲器
主に野外に設置する罠です。アライグマの寝床、餌場などに置きます。通り道がわかっている場合は、そこに置いても良いでしょう。アライグマの足跡は非常にわかりやすく、ねずみやハクビシンに比べて特定しやすいです。
捕獲器を使用する場合は自治体に確認・許可をとってから行ってください。捕獲器をこじ開けて外に出たというケースも報告されているようなので、捕獲器を置いたらこまめに確認しましょう。捕獲した個体を逃がすことも法に触れてしまう場合があります。
電気柵
アライグマは丸いフォルムですが、実は飛ぶことも得意という厄介さ。農家などで使用されている場合が多いようです。設置する場合は、隙間などがないように行うことが大切です。登る前に隙間を探すことも多いといいます。
自分で対策するか業者に依頼するか
アライグマ駆除・対策は結構大掛かりです。忌避剤などで追い払うくらいはご自宅でできそうですが、電気柵など大掛かり対策は設置も難しく、実際にアライグマを見たくないという方にはおすすめできないかもしれません。
プロにまかせて正確に駆除を行い、今後の対策をとってもらう方が得策かもしれません。何度も言うようにアライグマは気性も荒く、凶暴ですし、感染症も保有している可能性もあるので危険も多いです。自分で防除を行う際には法律を確認したうえで、自治体などに電話で許可をとってから細心の注意を払って行いましょう。
まとめ
いかがでしたか?よく見掛けたという目撃情報は聞きますが、詳細にアライグマのことを知っているという方は少ないと思います。アライグマがわたしたちにもたらす被害も、想像以上に深刻でしたね。近くで何度も見掛けることがあったら危険信号かもしれません。
もし、アライグマの被害に遭ってしまったというときは慎重に対策を行いましょう。無理をせず害獣駆除のプロに頼むことも検討してください。
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