少し自然が多い地方にいくと見かける動物の一つであるタヌキ。最近では都会でも迷い込んだのか、エサの確保が難しいためか、目撃されることもあります。日本では置き物や昔話、ことわざにも出てきて馴染みのある動物ですが、海外ではとても珍しい動物のようです。
体長もそれほど大きくなく、丸いフォルムでかわいらしく見えるタヌキですが、近年では農作物を荒らすなどの被害もあるため害獣としても扱われています。今回はそんなタヌキの特徴や生態・害獣としての被害事例、対策方法などをご紹介します。
アライグマとの違いは?タヌキ特徴と生態
狸は哺乳類の一種で、体長は約50~60cmで体重は3~10kgでそれほど大きくないのが一般的です。国内では全国に生息する生き物で昔は人間と共存し古くから親しまれていました。湿地・森林での生活に適応した動物で水辺の性格にも適した体型になっています。
森林での生活が多く、夜行性で単独もしくはペアで生活し、ペアは一度なったら死ぬまで解消されないと言われています。複数の個体のフィールドが重複している為、縄張りというものは持っていないとされていますが、「ため糞」という特定の場所にフンをするという習性があります。
1頭の狸で約10か所のため糞があり、大きいと高さ20cmにも積もっているのもあると言われています。ため糞はタヌキ同士の情報交換に役立っていると考えられています。
体は長い剛毛と柔毛の組み合わせである為、水生昆虫や魚介類など水生動物なども捕食します。食性は雑食であり、幼虫や小動物のほか果実などをさまざまなもの食べます。冬眠の習性はないが、冬に備えて脂肪を蓄えるため体重が増加させます。
よく似ているのがアライグマですが、よく見ると見た目も違うところが多いです。一番見分けやすい特徴は、しっぽではないでしょうか。アライグマのしっぽにはしましま模様で長いのが特徴ですが、狸のしっぽはふかふかの毛皮に包まれていて太く短いのが特徴です。
顔の特徴で一番わかりやすいのは髭で、狸の髭は黒いですが、アライグマは白いです。またアライグマは後ろ脚で立ち上がることができるのが特徴です。
タヌキによる被害事例
近年、生息地である山林が開発により少なくなってきたため、狸などの山林に住んでいた動物たちが街に進出してきています。その為、農家の田畑や山林の近隣住民への被害は莫大になっています。小さい果物だけでなく、大きなスイカなどやトウモロコシなどの農作物にも被害がでています。
また、狸は狭いところを住処にする習性があり、雑食の為餌に困らない街に住み着いてしまっています。屋根裏などに住み着いてしまうこともあります。屋根裏に住み着いてしまうと、糞尿による被害が深刻になります。
天井が腐ってしまったり、悪臭がしたり、さまざまな病原菌を媒介することになります。野生の狸をみかけても絶対に触らないことをおススメします。
「主な被害の一例」
- ・農作物への被害
- ・ゴミ捨て場を食い荒らす
- ・排泄物による悪臭
- ・病原菌による家畜やペットへの被害
- ・ダニやノミなどが大量発生
タヌキ対策
狸はわずかな隙間や穴があればそこから侵入してきます。度寝床などをつくられると住み着いてしまうので、しっかり対策を行わないといけません。
生ごみはごみ出しの日時をしっかり守りましょう。狸は夜行性の為、夜から生ごみをだしておくと荒らさる可能性が高くなります。また、ごみ出しの場所は他の動物からの被害もあります。カラスなどに荒らされた後に狸などが荒らしに来るなんてこともあるかもしれません。
生ごみは動物にとって最高のエサ置き場です。防鳥ネットなどをかけて食べられないようにしなければなりません。
畑などの農作物に被害がでている場合は畑にしっかり柵や電気柵や有刺鉄線などで囲い、周辺の草刈りなどをすると隠れ場所が減っていきます。またタヌキは夜行性の動物なので、青色LEDストロボが有効と言われています。同時に狸の天敵であるオオカミなどの鳴き声を流すとより効果的と言われています。
最近では赤外線センサーで察知をすると水が強力に噴射するものもあります。また、犬の匂いをつけける方法もあります。大型犬を飼って周辺を散歩させ、フンなどをしてもらうと効果が出たりするようです。多くの被害が出る前に、自分のところにあったグッズ選びも重要になってきます。
タヌキ駆除の難しさ
対策はネット社会の今、簡単にできるものが多くあります。しかし、簡単にできるからといって安易にやらない方がよいでしょう。
例えば、フン被害の清掃の際、綺麗に取り除いたからといって安心してはいけません。目に見えない病原体や独特の匂いが残ったりします。駆除はできても消毒やそのあとのケアは難しいとされています。
また、電気柵は電流により激しく感電することは滅多にないですが、取扱いや設置を正しく行わないと危険なことがあります。効き目がないからといって電流を勝手に上げる行為は大変危険です。電気用品安全法というのがあり、その適用を受ける電源装置を使用することをおススメします。
また、電気柵を設置する時には周りの人達にわかるよう、見やすい文字で危険表示をしなければなりません。人が多く簡単に立ち入れる場所だった場合は漏電による危険を解消する為に、漏電遮断機を取り付け、電路には簡単に開閉できる場所に専用の開閉器を施設することが決められていたりします。
また鳥獣保護法というものがあり、これは日本いるほぼすべての鳥獣に適用される法律になります。捕獲を検討しているのであればこの法律に触れる可能性があります。罠をしかけ、捕獲する場合、自治体の許可を受けなくてはなりません。
住宅の敷地内では条件を満たせば申請せずに捕獲が可能なことがあります。しかし素人では大変難しいと言われています。対策も同じことが言えます。
しっかり対策したつもりでも、再び何度も侵入される場合や、効果が出ない場合があります。住み着かれてしまう前に害獣駆除のプロに頼むのがさらなる被害が発生しない近道になるかもしれません。また、狸対策することでイノシシやカラスなどの他の動物被害からも対策できる可能性があります。
まとめ
「たぬき寝入り」という言葉があるように死んだふりや寝たふりをすることがあります。また可愛いからと言って絶対に餌をあげないでください。かしこい狸は学習し、狸は一度美味しいエサがあると必ず食べに来ます。
そして一度被害をもたらすとさらに被害が拡大していきます。生活が困難になる可能性もでてきます。
まずは住みやすい環境を与えないことが大事になってくるのでないでしょうか。
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